「空間建築工房へようこそ」わたしが会社を始めた理由

私は、何でも自分で決められる働き方をしたくて、夫婦で会社を始めることにしました。

夫は1級建築士、私は宅地建物取引士です。
ちなみにどちらもインテリアプランナーやコーディネーターの資格を持っています。

会社勤めの若いころ1番嫌いだったのは、納得できない押し売りのような手法や、人を騙すような建築工事でした。
どれだけ頑張っても、お客様に喜ばれても、これは本当に正しいことなのかと悩む日が多くありました。

私は、お天道様に恥じぬ、人様に良いことだけに、まっすぐ集中したかったのです。
だから、自分の信じるやり方で、誠実に建築に向き合う会社を作りました。


女性キャリアの難しさ


とはいえ、実際に会社を始めてみたら、想像以上に大変でした。

子どもは産まなければいけない(私が女性で夫には出産機能がなかった)、できればスポーツマンシップも学ばせたい。3人産んでいるうちに、時間なんてほとんど残っていませんでした。

設計と接客さえできれば何とかなると思っていたのに、気づけば、会計や労務手続き、育休の申請。職人さんが下手な始末をした電線の処理や水道の処理…。
保育園のお迎えをすっかり忘れて現場のおがくずを掃き続けていた事もあります。

「これって本当に私達がやるの?」という仕事が山ほどありました。
集中して本業に向き合える時間は、驚くほど少なかったのです。


モチベーションは、「お客様」


それでも、わざわざ私たちの会社を選んでくださるお客様が、たくさんおりました。
その想いにお応えするのはいまだに最高の喜びです。

毎回、「自分の家だったらどうするか」という情熱を込めて取り組んでいます。
もちろん、お客様の好みやライフスタイルを最大限に尊重しながらです。

楽しいのは、自分の趣味だけでは出せない“掛け算”ができること。
お客様の好みを受け取り、コーディネーターとしてセンスよく、心地よくまとめていく。
その先に生まれる空間は、私とお客様だけに生まれるコラボで、毎回得がたいものです。


社員が増えて


最近、特に嬉しいのは、そんな想いに共感してくれるスタッフが増えたことです。
設計士2人と現場監督。脇本陣カフェのスタッフ。

みんなは、私たち社長夫婦に媚びることなく、それぞれが自分の威信をかけて誠実に仕事に向き合っています。

私が目指す「お客様への最大の敬意と愛情」という姿勢を大切にし、日々の仕事で研鑽を重ねていること。
中には、「40歳を超えて今が1番頭を使っている」と言う社員もいます。
それが、今の私たちの強みであり、何よりの誇りです。


技術の高い職人とともに


さらに嬉しいのは、大工や左官工たちとの関係です。建築の職人は、もともと“一匹狼”が主流。
時間で働く雇用型の大工とは異なり、私たちが一緒に仕事をしているのは、手仕事に誇りを持ち、自由と個性を大切にする本物の職人たちです。

そんな彼らが、私たちの経営方針に共感し、長年にわたり最大限の時間を弊社に使ってくれています
スピード重視の建売住宅でなく、丁寧に立てる和風建築の技術を持つ職人たちです。

だからこそ弊社は、新築に加えて古民家のダイナミックリノベーションが可能です。

また一般に、建築業者は気難しいと思われがちですが、弊社の職人さん達はみんな気さくで柔軟な心の持ち主です。

お互いの技術を讃えあい、俺も負けてられん、と職人魂に火をつける人達です。
「ここでは、最後まで自分の納得のいく仕上げをやらせてもらえる」
そう言って、職人としての誇りをかけて仕事に臨んでいます。


空間建築工房へようこそ


建築が持つ“魂”は、そういった真摯な思いから生まれます。
空間建築工房で家を建てるということは、こうした建築者の“良心”に触れていただくことでもあります。
設計士や職人、スタッフ一人ひとりが、お客様と人間同士で向き合い、敬意と愛情を持って建物をつくる…。

その姿勢は、創業当初から変わることのない私たちの原点です。

「お父さんが建てた家が良かったから」「友人がすすめてくれたから」「姪が感動していたので」
――そんな風にご紹介いただいたご縁が広がり、おかげさまで今年、開業24年を迎えました。

どうぞ一度、空間建築工房に会いに来てください。
2025年2月から、古民家カフェも始めました。

ただ、家を建てるだけではない…
家を作ることで、皆様の幸せな人生の伴走をさせていただく。
これが私たちの仕事の最大の喜びです。

2025年5月 取締役 吉田良子